Lumion 5th conpetition Japan2019 に出品した作品です。

LUMION Competition 2019 JAPAN

第5回ルミオン・コンペ JAPAN 2019 出品作品

敷地面積:6,427㎡(約1,944坪)

建築面積:5,300㎡(約1,600坪)

面積配分:商業利用50%>ホテル利用50%

延床面積:地上10,000㎡ 地下10,600㎡

最高高さ:平均GLから16m(一部、7.5m)

駐車台数:360台

【 提供資料 】

    1.都市計画図          2.対象地敷地      3.GLの基準高   4.周辺建物

【 作成工程 】

① 現地の地形データ作成(※提供物として敷地データは使用しなかった)

常日頃から3Dソフトである「SketchUp」は使い慣れているものの、2km×2km範囲の地形データを1から作成する作業することにしました。頼りになるのは「Google Earth Pro」のデータのはずでしたが、思うようにリアルな地形データを取り入れることができません。そこで、「SketchUp」のジオロケーション機能を利用することにしました。しかし、DLできるデータは40m×40mの大まかなジオメトリデータです。海岸線に至っては使いものにならないと判断。地形を自作で作ることにしました。なぜ、自作で作ろうとしたのか?と思われるかもしれませんが、提供されていたSketchUpデータは約70Mbであったため、作業するのに重いと思ったためでした。(結果的にはもっと重いデータになりました。)

② 旧要塞監獄も新たにモデル作成

今思えば、この建物に10日ほど費やす必要があったのだろうか?ただ、提供されたドローンの画像を見ているうちに、外部、内部の画像をインターネットで探し始めていました。最初の作業は「建物の寸法」でした。Google Earthの「定規」をつかって計測しました。

いよいよ、スケッチアップで建物の作成です。作業量を少なくするために、建物の半分を「コンポーネント」機能を利用して作成。あとで反転して貼り合わせれば作業量は半分ですみます。しかし、一部、シンメトリーではない部分は、細かく手作業のため時間がかかりました。

この建物は、窓(鉄格子)が多すぎる。「コンポーネント」機能を利用するにしても、全体で500か所以上。サイズ違いの窓の種類が8つ以上あり苦労しました。建物自体の壁厚は約1.5m、おまけに、曲面に窓穴を開け、窓をはめていく作業が多く、本題の「ホテル+多目的商業施設」の作業まで気が遠くなりそうでした。

細部まで作りこむ必要はなかったと思いますが、やっと「旧要塞監獄と隣接の建物」が完成。結果的には、このモデルだけで88Mbになってしまった。

③ 海洋博物館と海洋博物館事務所(隣接建物)

ここで審査基準を思い出しました。本題の「ホテルと多目的商業施設」の建築のデザイン性~パタレイ旧要塞監獄との調和性。ということは、計画地周辺の建物との関係もあり得るのかと考えると、周辺の建物も作ることにしました。「海洋博物館」もGoogle Earthの「定規」をつかって計測しました。インターネットで画像を検索すると、旧式の潜水艦のほか海上に浮かぶブイなど内部には海に関する展示物がぎっしりあります。展示物を作るところまでは無理だと判断して、建物だけを作成。

今回の計画地の隣になる「海洋博物館事務所」は、資料が何もないのでGoogle Earthのストリートビューで地上画像を参考にしました。横の幹線道路からの高低差を考慮し建物の配置、寸法は「Google Earth」での計測。建物の横には「児童公園」らしきものがあります。

上のSketchUpモデルをLUMIONでレンダリングして完成したのが下画像です。

④ 道路と市街地の建物

地形作成で最も手間のかかるのが道路ではないでしょうか。平らではない道路に「白線」や「横断歩道」などを作成していくのは大変です。日本の道路のようにはいきません。小規模の範囲に道路白線を引く場合は150mmにしていますが、上空からの画像が必要な場合は200mmくらいないと見えません。

市街地の建物は「白箱」にすることにしました。時間があれば、エストニアの街並みを再現することも可能だと思いますが、今回は、時間がありません。

⑤ 多目的商業施設とホテル

やっとの思いで本題の「多目的商業施設とホテル」まできました。敷地面積「6,427㎡」に建築面積「5,300㎡」は、建ぺい率約82%として、地上10,000㎡(この内、50%以上を多目的商業施設、50%以下をホテル)、地下部分10,600㎡に360台の駐車スペースを計画しなければなりません。また、部分的な高さの規制と階数規制があり、大変な作業になりました。

敷地南端から北端の高低差は約4m。中心でGL±0として、最高高さ7.5mの高さ規制部分はGLからということで、実質的には「5.5m~6.5m」ほどしか利用できないことになり、屋根形状も制限されます。

課題 【ホテル+多目的商業施設】

◇ 面積配分 商業利用:50%以上 ホテル利用:50%以下
◇ 建物数:最大4つ
◇ 敷地面積:6427㎡
◇ 延べ床面積:地上部分 10,000㎡、地下部分 10,600㎡
◇ 建築面積:5,300㎡
◇ 最高高さ:16m 平均地盤面から16m
 ※さらに①最大4階、②最大1階、③最高高さ7.5mライン※敷地のほぼ中央が平均地盤±0の設定
ただし、②最大1階の具体的な高さは設定されていません。
 ※平均地盤面の基準高さについて
◇ 駐車場:360台 基本的に地下1階に配置
 ※地上にある10台分は含めず
◇ 敷地データ(SketchUpファイル)
このデータは、ジオメトリー(モデル形成線)が複雑に重複していたので使用しませんでした。

この条件を満たす範囲で、課題を作成するのです。建設の専門家ではない「不動産会社」がどこまで出来るのか。

⑥ 都市計画図(現地の都市計画図はエストニア語?)

最初に全体計画として考慮しなければならないポイントがいくつかありますが、今回は課題を重点にいくつか書出してみました。

Ⅰ 計画の適正規模(来訪者の想定がわからないため、敷地の規模に合わせて計画するしかありません)

Ⅱ 滞留時間(訪れた人たちがココにいる時間ですが、観光目的、商業目的など基準になるデータなし)

Ⅲ 環境への配慮(壁面緑化、太陽光利用、電気と温水の自家供給、汚水や雨水のリサイクルなど)

とはいえ、これだけの規模になると、前面の幹線道路から見たとき、ある意味、目立つ必要があることを考慮すべきだと思い、待ち合わせ場所ともなる「オープンスペース」に何かモニュメントを設置することにしました。ただ、高さ制限が7.5mなので背の高いものは無理です。

 

参考になる何かを探すために「パタレイ、旧要塞監獄」で検索すると、多くの画像がありました。

上の画像を見てお気づきかと思いますが「R」形状が多いことを発見しました。建築当時の構造体はレンガや石を使用し、アーチやヴォールト天井の形状になるわけで、壁の厚みも1.5m~2mくらいあるようです。この監獄に収容された人たちは、この「R」形状の中で「早く外に出たい!」と思っていたことでしょう。子供の頃、「防空壕」という戦時中に爆弾から身を守るための洞穴があり、そこに入って遊んだ記憶があり、真っ暗な洞穴から出てくると解放された感じがありました。

それで、「解放感」とか「新たな空間の発見」という意味で、この「R」の形状モニュメントをイメージして何か設置しようと思い、下の巨大モニュメントを考えました。

手前は、高さ4.5m×7.8m、奥が、高さ6.7m×10mの半円のドーム形状になっています。「原爆慰霊碑」と似てる?と言われそうですが、原爆慰霊碑の屋根の部分は「犠牲者の霊を雨露から守りたい」と「はにわの家型」をモチーフに丹下健三氏が設計したと何かのTVインタビューで聞いたことがあります。しかし、このR形状(上図)は「パタレイ旧要塞監獄」の天井のイメージで「自由のシンボル」だとご理解していただければ幸いです。待ち合わせをするときにも、このモニュメントが目印になるようにと、通り抜ける内側には6本の光るラインがあり、通り抜けると7つ目の「新たな空間」を発見できそうな思いが込められています。

⑦ 多目的商業施設

通り抜けた右側には、高さ制限7.5mゾーンのガラス張りで開放感のある通路を計画しました。高さ6m~6.6m、幅が約10m、長さが約33mあります。観光の団体の方たちが集まる場所としても利用できるように想定してあります。画像では判りませんが、ステンレス素材の骨組みにソーラーガラスの設定。

 

多目的商業施設の入り口付近の画像です。日本の大規模スペースの天井ではよく使用される「トラス構造」で、構成部材は3m部材の組む付けによるものです。多目的商業施設ということで、今回の計画では、あえてスペースの仕切りは在りません。屋根は、33m×76mありますので、オールソーラーパネル仕様にした場合には、この施設全体の電気供給は可能かと思われます。右奥に見えるスペースは、ホテルサイドの1Fにあたる場所ですが、多目的商業施設の一部として利用することも可能です。

 

東の「パタレイ旧要塞監獄」側には、多目的商業施設の一部として、物販も可能なショップエリアとしました。最大1階という規制があるため天井高が5.2m~6.2mですが、物販店を想定した場合、どうしても在庫スペースが必要となります。そのため、奥に螺旋階段を設置したスペースを計画しました。

 

⑧ ホテル施設

ホテル施設は、2階から4階を利用する計画にしました。部屋によって、東側「パタレイ旧要塞監獄」、北側の「海洋博物館」が見えます。2階のショップエリア側には、中空庭園として植物を配し、3~4階の「パタレイ旧要塞監獄」側には、バルコニー付きの部屋もあり、部屋タイプは30㎡~80㎡となります。

⑨ 駐車場

駐車場の出入り口は、幹線道路側を避け、通行車の往来の少ない北側に設けました。地下1階と地下2階の平置き駐車スペースで、身障者用駐車スペースは、4か所あるエレベータ付近に各2~3台分を配し、

6.5m幅の一方向進行の通路としました。許容高さ2.8mで、中型貨物車両(6m×2.3m)程度であれば駐車可能となっております。

この「LUMION CONPETITION 2019 JAPAN 」に出展するために、3Dモデルを作成するソフト(SketchUp)で形状モデルを作成し、このコンテストの主催であるLUMION(3Dレンダリングソフト)で植栽、照明、人物、自動車、各種素材を付加して作成します。LUMIONは、非常に使い勝手が良いソフトですから、形状モデルさえ完成すればLUMIONでの「添景」の作業は2~3日もあれば十分だと思います。しかし、今回の課題となる「多目的商業施設+ホテル」以外に「旧要塞監獄」だけでも80MbのSketchUpモデルとなり、「隣接の建物」や道路、海岸線、その他市街地の建物などを含めると230Mbとなってしまいました。現地の情報を集めながらのSketchUpの作業だけでも20日以上経過し、出品の締め切りギリギリという余裕のない日々でした。締め切りの前夜は、不眠不休で作業を行いフラフラの状態に加え、外付けハードディスクの不具合で、一度は出品を諦めようかと思いました。

このコンペ出品の意義は「不動産会社が海外の大規模プロジェクト計画」に対して、どこまでやれるか?という挑戦でもあります。